こんにちは。弁護士の堀部忠男です。
前回からの続きで民法改正の話です。
法律がその効力を持つには、国会で制定された後に、まずその内容を国民に知らせる(公布する)必要があります。法律の公布は、官報という国の広報紙に掲載することで行います。公布してすぐに施行する法律もないわけではありませんが、国民が知るための期間(周知期間)をおいてから効力を生じさせる場合が多いと思われます。今回の民法改正の場合は「原則として、公布の日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」ことになっています。
公布の話をしましたが、そもそも成立がだいぶ先になりそうです。今年の通常国会では民法改正法案は全く審議されておらず、同じ法務委員会で審議する刑事訴訟法改正案は衆議院では可決されたものの参議院で審議に入ることができず積み残されました。今年の秋の臨時国会は開催を見送る可能性もあると報道されています。開催されても他に優先する議案が多いようなので、今年中の成立はかなり難しいのかもしれません。そうすると来年の通常国会での成立ということになるかもしれませんが、周知期間は三年を超えない範囲とされていますので、周知期間を削れば当初想定した時期に施行することは可能ではあります。ただ、どうなるのかは現時点では分かりません。